広島県テント工業組合では酸化チタンを活用した、汚れにくいテント製品の開発に取組んでいます。
テント業界の市場についてみてみると、縮小傾向にむかっているのが現状です。主力であった個人商店の店舗の軒先テントは、大型商業店の進出やコンビニエンスストアーなどへの業種転換、更には後継者不足などもあり減少の一途をたどっています。普通にみられた各町の商店街はシャッターが下り、地域に密着した八百屋、魚屋、肉屋、駄菓子屋、雑貨屋、文房具屋、酒屋、タバコ屋などは姿を消しつつあります。そういった店舗の軒先についていたテントは店舗の減少とともにトータル的な数が激変しています。この流れは止まることなく、今後も続いていくものと考えられます。
また、アクリル看板やポリカーボネイトといった、テント製品に対抗される屋外広告物も大量生産による価格の低下などにより、軒先テントの市場に食い込んできています。特に、コンビニエンス業界などでは看板業界に全敗しているのが現状です。
反面、雨風がしのげ、素材がやわらかくあらゆる加工に対応できるカラフルなテント素材には根強い人気があり、工夫次第で市場の拡大を狙える要素を秘めています。また、近年の紫外線対策として、紫外線を約100%カットするテント生地は、今後も市場へのアピール性を十分に持っていると考えられます。
広島県テント工業組合としては、上記、軒先テントの減少や異業種の参入などによる業界衰退傾向の中、市場の復興に向けた取り組みとして、テント最大の欠点である汚れに対応していくために、酸化チタンを活用したテントへの事業化を目指しているところです。平成17年度に、全国中小企業団体中央会の組合等自主研修事業を活用、近畿大学 井原教授をお招きし、「紫外線の基礎知識、酸化チタンの活用方法」をテーマとした研修会を開催、酸化チタンテントに取り組んでいくための基礎知識の吸収及び問題意識の高揚を図りました。平成18年度は、テント生地(ピース片)に井原教授の知見を持つ可視光線対応の酸化チタンを塗布した場合の防汚性能の確認など、実験レベルでの検証を行っています。
吹付施工直後 天端 |
吹付施工4ヶ月経過 |
吹付施工4ヶ月経過 天端 |
西向きにおける光触媒テント生地 防汚性能評価 18ヶ月 |
テント生地野外暴露試験結果 (雨筋テスト) |
テント生地野外暴露試験結果 (雨筋テスト) |